前之園賞受賞者一覧

              第4回 前之園賞    (授賞式2014年4月1日)

【神戸大学大学医学研究科・放射線医学分野】 杉村 和朗 教授

『MRIによる新しいがん診断法の開発』

 1980年代より、MRIによるがん診断法の開発に取り組んできた。特に前立腺がんや子宮がんといった生殖器睡瘍の診断について、世界をリードする成果を上げてきた。300以上の国際学術誌への発表、50以上の著書、book chapter を執筆している。世界をリードする研究成果が評価され、国内はもとより米国、欧州の国際雑誌の editor,reviewer を務めている。

 最近はその活動を低侵襲医療の発展に広げており、放射線診断法と放射線治療の融合を研究テーマにしている。このコンセプトをもとに、新しいがん医療を実現する病院の設立に尽力し、日本のがん医療を神戸から変えていく運動を行っている。

 今までの研究成果が高く評価され、国際 MR 学会より fellow の称号を授与された。また、北米放射線学会、欧州放射線学会、ドイツ放射線学会から名誉会員の称号を授与されている。現在は世界三極の一つである Asian Oceanian Society of Radiology (AOSR)の President として、また2014年に神戸で開催される Asia Oceania Congressof Radiology(AOCR) の大会長として、アジアからの情報発信の中心として活躍している。

※2014年4月時以前の記載内容となっています。

【神戸大学大学院医学研究科・内科学講座循環器内科学分野】 平田 健一 教授

『動脈硬化性疾患の新規診断法、治療法の開発』

 急性心筋梗塞をはじめとする動脈硬化性疾患は、日本人においても死亡原因となり、その診断法、治療の開発は重要である。診断法においては神戸大学循環器内科として光干渉断層撮影法 (optical coherence tomography;OCT)を冠動脈イメージングの新しい方法として早くから導入し、ステント治療後の内膜の修復や血栓症の頻度などを明らかとし、冠動脈疾患の病態解明や抗血小板療法の考え方について提唱して来た。

 またスタチンにより LDL コレステロールを低下させることが可能となったが、心血管イベントの予防や治療は不完全であり、その他の残余リスクの重要性を証明し、その管理についてのエビデンスを発信してきた。善玉コレステロールである HDL-C は冠動脈イベントと負の相関を示すが、 HDL-C を規定する血管内皮リパーゼ(endothelial lipase:EU を発見し、その測定法を開発し、冠動脈疾患患者でHDL-C が低下することの原因となっていることを報告した。さらに脂肪酸についても内閣府からの調査研究でトランス脂肪酸摂取が血中のトランス脂肪酸浪度を上昇させ、冠動脈疾患のリスクとなることを明らかにし、リポ蛋白や脂肪酸の雇だけでなく、その機能や質が重要であることを報告してきた。

 平田健一教授は循環器内科の領域、特に動脈硬化に基づく急性心筋梗塞や狭心症の病態の解明や、予防法、治療法の開発に独創的で優れた業績を上げてきた。とくに冠動脈のイメージングや脂質代謝にかかわる新規分子を発見し、動脈硬化性疾患の診断、治療の分野において多大な貢献をした。

※2014年4月時以前の記載内容となっています。

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