前之園賞受賞者一覧

              第2回 前之園賞    (授賞式2012年4月2日)

【神戸大学大学院医学研究科・肝胆膵外科学】 具 英成 教授

『進行肝癌に対する肝灌流と外科切除の併用による革新的治療法の構築』

 具英成氏は神戸大学外科学講座肝胆膵外科学分野の教授として、本学附属病院の肝胆膵外科の責任者として活躍中です。現在、日本外科学会(代議員)を初めとして日本消化器外科学会(理事、2013年大会会長選任)、日本臨床外科学会(評議員)、日本消化器病学会(代議員、理事就任予定)、日本肝臓学会(評議員)、日本癌治療学会(理事)、日本肝癌研究会(代表幹事、2015年会長選任)など多数の全国学会の要職を務めています。臨床面では難治性肝胆膵疾患の外科的治療に数多くの業績があり、特に自らが開発した経皮的肝灌流化学療法は高度進行肝癌に対する画期的治療として国内のみならず海外からも高く評価され、欧米の肝胆膵外科の著名な教科書である Surgery of the Liver, Biliary Tract and Pancreas に執筆されています。また神戸大学における肝移植や膵移植などの臓器移植医療体制を構築し、同校が全国有数の移植医療施設となるのに多大な功績を上げてきました。

 具英成教授は独創性と科学性を合わせ持った肝癌に対する経皮的肝灌流化学療法を考案し、臨床  応用することで高度進行肝癌に対する革新的治療体系を確立し、数々の業績を上げています。この治療法は現在までに200例以上の進行肝癌の患者に施行され、日本肝臓学会が2010年度に発行した肝癌診療マニュアル第2版にも肝癌の先進的治療として位置づけられています。また経皮的肝灌流化学療法を基軸として病態により肝切除など既存の治療法あるいは肝移植、粒子線治療を組み合わせた肝癌に対する総合的治療戦略を提唱することで、他施設に類例をみとめない治療成績と幅広い治療域を確保し、神戸大学は肝癌治療における日本のセンター的役割を果たすようになっています。その結果、ちなみに同校での肝切除例は近年飛躍的に増加し、国内外の50大学以上から患者紹介を受けるようになっています。

※2012年4月時以前の記載内容となっています。

【神戸大学医学部付属病院・病理診断科】 伊藤 智雄 特命教授

『高度病理診断体制の整備と免疫組織的診断学の開発・普及』

 2008年1月1日に神戸大学医学部附属病院病理部客員教授、同2008年2月1日に神戸大学医学部附属病院病理部特命教授として赴任し、神戸大学における病理診断体制の整備に一貫して尽力してきた。特に若手医師の獲得に力を注ぎ、現在は全国でも有数の人員を備えた病理診断科となり、臨床各科と密接な連携を保ち、他に類をみない程の理想的な病理診断体制を構築した。現在では全国で最も若手医師を集める力のある病理診断科とみなされている。免疫組織学的診断学の開発、普及にも並々ならぬ努力を払い、インターネット上では病理診断&染色総合データベース「いむ一の」を運営し、年間40万ヒットの病理関係者ならば知らぬ者のない学術サイトに成長させ、神戸大学病理診断科の名を全国に知らしめることとなった。免疫多重染色などを用いた新たな診断学の開発でも定評があり、本年度からは神戸免疫組織診断学セミナーを全国に向け開催し、神戸大学を名実ともに本邦における免疫染色の中心地と成長させた。その他多数のセミナーや勉強会を開催するなど、地域の病理診断学への貢献も著しい。

 病理学の世界で神戸大学の名を全国に知らしめるのみならず、臨床実地診療、地域医療への貢献も著しく、病理診断学の新たな流れを作った全国的にも注目される存在となっている。

※2012年4月時以前の記載内容となっています。

▶︎「いむーの」Webサイト

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